記録 / 記憶
やり取りしたトークラインは即、消去する。
今では勝手に指が動くようになるほどに慣れた。
もちろん危機管理という意味もあるけれど。
手さぐりしながら微笑ましい駆け引きをしていた頃に送りあった幾千のメッセージ。
寂しくなって読み返しては、掌の中の小さな機械の中だけに彼との世界があるような気持ちがして、尚更寂しくなった。
だから寄り添う覚悟を決めた時、思い切って全てを消去した。
写真一枚すら持たない。その代わりに、より敏感に感じる余韻がある。
匂い 響き 温度 湿度まで、感覚の全てが記憶する。
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でもね。
しばらく時間が空いてから返される彼のツッコミを読むと
私が最後に何を書いたのか忘れちゃってることが多いのよね。
あれ、なんの話してたっけ?
歳かな、そろそろ危ないかも私。苦笑